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大規模修繕工事はどこへ頼めばいいのか?工事費はいったいいくらかかるのか?

▼大規模修繕工事はどこへ発注すればいいのか?

工事する箇所があらかた決まったら次はどこの施工会社(工事会社)に依頼するか検討することになります。


大規模修繕工事のステップは以下のとおり。


1)工事計画の立案

2)施工

3)監理


1)の工事計画の立案には見積入札による施工会社の選定補助も含まれます。3)の監理は工事内容のチェックのことで管理ではなく「監」の字を使うのには、工事内容の監督するという意味があります。週1~2回程度、現場を巡回し施行内容をチェックします。


10数年前まではマンション管理を委託している管理会社に1)~3)のすべてを依頼する管理会社方式(管理会社元請け方式)が主流でした。「普段マンションに出入りしている管理会社に任せるほうが安心」「普段マンションに出入りしていない施工会社の人が出入りするのが嫌」「相見積もりを取るのが面倒」などがその理由でした。

 だた、管理会社は出納野監理うあ総会資料の作成などを通して、そのマンションの懐具合を完全に把握していることもあり、そのマンションが払えるぎりぎりの見積金額を提示するケースがまま見受けられました。工事内容のチェックを工事会社が行うのは透明性に欠ける

という声も高まり、管理会社方式は次第に敬遠されていきました。また、施工業務から手を引く管理会社が増えたということも背景にあります。


▼設計監理方式に潜む思わぬトラップ

代わって主流になったのが、設計監理方式と責任施工監理方式の2つです。

設計監理方式とは1)工事計画の立案と3)監理を外部(多くは設計事務所)に依頼し、工事だけは施工会社に任せる方法です。この場合、総工事費の7~10%を設計事務所に支払うのが通例です。一方の責任施工監理方式は、1)工事計画の立案だけ設計事務所に依頼し、施工会社に施工と監理を任せるやり方で監理の透明性に欠ける点では管理会社方式と変わらないため、設計監理方式に比べて採用されにくいという実情があります。

 ただ、「設計監理方式にすれば設計事務所に守られるというのは錯覚であり誤解だ」(業界筋)という意見もあります。設計監理方式のスキームでは、設計事務所の比重が非常に重くいなります。そのためか、「施工会社がマンション管理組合でなく設計事務所から仕事を貰っているような感覚に陥る可能性がある」(専門家)。とどまるところ、「一回仕事を貰っても、いつまた次の仕事をくれるかわからないマンション管理組合よりも、もしかしたら来月にも次の仕事を回してくれるかもしれない設計事務所に気に入られるほうが得策」と考えるのは自然なことです。

 いったんこうなると、どの施工会社も設計事務所の原案をなぞったような「オリジナリティのない、似たり寄ったりの見積もりしか出てこない」(専門家)。いざ工事が始まり、工事計画になかった壁の剥がれが見つかったような場合でも、事前に見つけられなかった設計事務所の顔に泥を塗らないように応急処置だけして済ませるという事も実際にあるようで、ひどい場合には設計事務所が見積り合わせをしたり、談合の音頭を取ったり、施工会社からバックマージンをもらっていたりするケースも実際のところ無いとは言い切れないようです。


▼マンションと理事会を守る第三者からの視点

つまるところ、施主であるマンション管理組合がどれだけ自主的にかかわるかが成否のカギを握ることになる訳です。例えば事前の建物診断ひとつ取っても、するかしないかは管理組合が判断すればいいことです。工事計画の算定に含まれていることがほとんどですが、その必要性については業界内でも意見が分かれています。建物診断では、外壁の傷みや鉄部の錆びを目視したり、ハンマーでコンクリートを打って返ってくる音で強度を図ったり、コンクリートの中性化実験をしたりもします。ただ、この段階では足場を組んでいないので、診断できる範囲は極めて狭い範囲になりまが、それでも診断費用は一戸1万円程度かかります。

 もう一つ重量なのは管理会社でも設計事務所でもない第三者の活用です。コンサルティング会社のような機関に要所をチェックしてもらえば、どんな方式を採用しても不安は大きく減少します。「仕様のチェックや価格のチェックも当然するが、管理組合にとってはリスクヘッジの意味合いも大きい」という見解も専門家の間では議論されています。

 「今年の修繕委員超はあの施工会社からリベートをもらっているらしい」「理事長は管理会社びいきだから管理会社方式にしたのではないか」。発注を決めた後になってこうした根も葉もないうわさが立つのは大変よくある話のようです。ちょうどその頃、本人に新しい車が納車されたりするともう大変な騒ぎになる訳です。「マンションは狭い世界。あっという間に噂が広がる。耐えかねて、自宅を売って引っ越す羽目になった理事長を何人も見ています」(専門家)。管理組合から理事長が訴えられた利するケースも枚挙にいとまがないようです。大規模修繕工事への熱意があだにならないための自衛策としても、第三者の力(例えば大規模修繕に精通したマンション管理士 等)を借りることは決して無駄ではないのかもしれません。


▼修繕工事、いったい幾らかかるのか?

50~100戸規模で外壁がタイルのマンションの場合、一戸当たり80~100万円。業界関係者の話を総合すると、このあたりが大規模修繕工事にかかる費用のひとつの目安になるようです。外壁が塗装(吹きつけ)の場合にはもう少し安くなり、一戸当たり60~80万円前後。タイルは浮きや剥がれがあった場合には手間がかかるため割高になります。

国土交通省の調査でも90~100万円の回答が最も多くなっています。ただし、マンションの規模や工事内容、工法によって金額には大きく差が出ます。さまざまな工事内容の中で、最も金額が張るのが仮設工事です。作業員の足場というサブ的なものが一番高いというのは意外がもしれませんが、足場の架けばらしは煩雑な作業です。作業員の詰め所や仮設トイレ、資材置き場の設置、エレベーターや非工事箇所を傷つけたりしないための養生(シートなどの保護)なども含むと総額はどうしても嵩んできます。

 国土交通省の調査では足場関連は工事費全体の2割を占めるという結果が出ていますが、実際には3割超になるケースも多く見受けられます。仮に修繕工事中に全住民が他の場所に住めば足場を組む必要はありません。作業員が住居を通ってベランダに出入りすればいいからです。ただ、現実には住民が生活しながら工事を進めるわけですから、ある程度のコストは仕方がないかもしれません。この足場は、タワーマンションのような60メートル(20階相当)を超える物件だと、高過ぎて組むことができません。一般的な足場で対応できるのは通常45メートル(14~15階相当)までとされています。それより上の階については、屋上からゴンドラをおろして作業することになりますが、このゴンドラがなかなか厄介で基本的に風速10メートルを超える風が吹くと作業を中止しなければなりません。したがって工期はどうしても長くなりがちです。1回目の大規模修繕工事を終えたとあるタワーマンションでは、工期が2年10ヶ月間に及び、工事総額は6億円に迫ったといいます。また、ゴンドラを屋上から吊るすワイヤの風切り音が気になるという声もあったようです。


▼その工事、本当に必要?

マンションの資産価値を維持し、快適に住まうための修繕工事は、単に安ければいいというものではありませんが、過剰な工事も必要ありません。例えば、外壁の高圧洗浄は1平方メートル当たり80~150円かかりますが、「吹き溜まりや陰に隠れた場所ならいざ知らず、つねに薄いで洗われているような表面まで洗う必要があるのか?」という声は業界関係者の間でもよく聞かれます。

 大規模修繕工事を終えたとあるマンションの理事は「雨にさらされず、住民もめったに通らない内部廊下の壁や天井までくまなく塗装するのが本当に必要だったのか」と悔んだそうです。管理会社や設計事務所に任せっきりにせず、住民が冷静な目で工事項目を取捨選択する必要があります。単価については「マンション改修価格情報」(建設物価調査会)などの情報がひとつの指標になるかと思います。ちなみに、新築マンションは引き渡しから言って機関、不具合を無償で直す保証がついていることが多いです。これはアフターサービスと呼ばれ期間は通常2年間。この期間内に大規模修繕工事と同じような項目(外壁、防水、シーリングなど)をチェックし、施工不良が原因のものであれば直してもらいましょう。これをするのとしないとでは、その後の修繕計画や内容、ひいては費用に各段の差が出ます。2年目のアフターサービスでコンクリートのひび割れなど、かなりの箇所を無償修理してもらったという、あるマンション管理組合の理事は、「1期目、2期目の理事達がしっかり対処してくれたのでよかった。何事も出足が肝心」とコメントしています。なにもかも業者任せにするのではなく、施主である管理組合も工事内容のチェックを怠らないようにしましょう。














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