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【専有部分の用途(パチンコ店)】ケーススタディ(判例)              ダイアパレスステーションプラザお花茶屋事件〖東京地判 平成8・3・2判時1553号98頁〗

▼事案の概要

Aは、Bが建築した本件マンションの管理組合であり、管理規約上その代表者である理事長が区分所有法上の管理者とされているが、1階の店舗部分の区分所有者であるBが管理者の許可なくこれを第三者に貸与してパチンコ店をを開業しようとしており、騒音、品位低下等により他の区分所有者の受ける不利益には著しいものがあり、共同利益を害するとして、集会決議を経たうえ、Bに対し、本件店舗に対する区分所有権をパチンコ店営業の用途に供することの差し止めを求め等を求めた。


▼判決要旨

Aの請求を棄却した。

規約において店舗に対する区分所有権をパチンコ店営業の用途に供することを明文では禁止していないマンションにつき、専有部分の店舗を第三者に貸与してパチンコ店を開業するとが「共同の利益」に反するかどうかについての判断は、当該店舗をパチンコ店営業の用途に供することの必要性、これによってマンションの区分所有者が被る不利益の態様、性質および程度、他の手段の可能性等諸般の事情を比較考慮して社会通念によって決するのが相当である。

 1、2階を店舗、事務所、3階以上を住宅とする混合マンションにおいて、店舗のパチンコ営業そのものを一切禁止することは、当該店舗の区分所有者が受忍すべき程度を超えるものであり、したがって、当該店舗につき内外装工事をしてパチンコ店営業の用途に供すること自体が「共同の利益」に違反するものではないというべきであるとされた。


▼解説

区分所有法6条1項で規定する、区分所有者の禁止される行為は、「建物の保存に有害な行為」「その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」となっています。一般的には「共同の利益」に反する行為の該当性は、「当該行為の必要性の程度、これによって他の区分所有者の被る不利益の態様、程度の諸事情を比較考慮して決すべき」であるとされる(東京高半昭和53・2・27金法875号31項)。この基準に照らして、本判決はBのパチンコ店営業等の行為は共同の利益に反しないとしています。Aは、Bによるパチンコ店営業自体と、Bのパチンコ店開業に向けて行われた内外装工事が「共同の利益」に反すると主張したが、本件マンションには次に掲げるような事情が存した。

 本件マンションは、いわゆるファミリータイプの住戸、ワンルームタイプの住戸のほか、本件店舗および本件事務所が一体として利用される複合用途のマンションであって、3階以上の住戸は、1、2階と明確に区画され、騒音も考慮して1,2階から大きくセットバックしている。また、2階から住戸に一般人が自由に出入りすることはできず、3階以上の住戸の生活空間と本件店舗の営業空間は別個独立もののとされている。

 販売会社が準備した本件マンションの3階以上の住宅専用部分販売用パンフレットにおいては、特記事項として、「1 本建物1階店舗、2階事務所については、現在業種は未定ですが、風俗営業が入る場合があります。2 本建物1階店舗、2階事務所の区分所有者及びその特定承継人が売り主の指定する部分に店舗用看板を設置することおよび1階店舗前空地部分(イ)部分を店舗来店用自転車置場等として設置すること等として、又、(ロ)部分を空調室外機置場として、専用使用することを他の区分所有者は認めていただきます」との記載がある。そして、本件マンションの3階以上の住宅専用部分の各購入者は訴外会社から当該パンフレットと同様のことが記載されている「重要事項説明書」の交付を受けている。なお、上記につき、「風俗営業」と記載されて「パチンコ店営業」と特定されていないのは、ゲームセンター等の他の業種も想定されたことによる。Bは、本件内装工事をしたものの、現実には本件店舗において自らまたは第三者に賃貸してパチンコ店の営業を差し控えて開始しておらず、また本件規約12条2項所定の誓約書を提出する用意をしている。

 以上のような事情を踏まえて、判決は、パチンコ店営業が共同の利益に反するか否かについて、①本件規約所定の「共同の利益」は、本件店舗において「風俗営業」がなさえるこtもありうることを前提として解釈するのが相当であり、風俗営業についてパチンコ店を除外することはできない、また、②本件店舗のパチンコ店営業そのものを一切禁止することは、本件店舗の区分所有者たるBが受忍すべき程度を超えるものとするのが相当である。

 したがって、Bにおいて本件内装工事をして本件店舗をパチンコ店営業の用途に供すること自体が「共同利益」に違反するものではないといわなければならない。しかも、③Aの主張する被害の内容は抽象的かつ一般的なものにとどまっているというべきである。むしろ、AはBが本件店舗をパチンコ店営業の用途に供することによってBを除く本件マンションの区分所有者が現実にまたは将来被る不利益の内容を確定することは困難である。したがってAの主張する損害については、共同生活上の障害が著しく、これにより共同生活の維持が困難となっているものとは断定することができないといわなければならないとしています。

 また、内装工事が共同の利益に反するか否かについては、Bが、本件マンションの1、2階用の電源である既存の変電設備機器(キュービクル)の容量を大きくしたが、当該変電設備機器は、本件マンションの建設設計図においても記載がなされていたこと、その設置は敷地の利用に障害を及ぼすものではないこと、Bが本件マンション1階専用部と外部を隔てる壁の一部に配管および配線した行為は、専有部分の使用に付随し、かつ、軽微なものであること、Bが看板を設置した場所は、Bが看板設置を含む専用使用権を有する場所であることが認められ、本件外装工事が本件規約に違反するものとして、Aの撤去請求を認めることは相当でないものといわなければならないとしています。




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